停止した、私と爽くんの交わったままの視線。


やがて、爽くんしか見えていなかった梨花の目もその視線に気づき、爽くんの視線を辿るように私の方に顔を向けてくる。



あの日から視線を交わすことがなかった梨花だけど、久々にあった視線は今までで一番悲しくて。

だけども今までで一番、優しそうに揺れていた。




『梨花…。』



ほぼ無意識に梨花の名前を発したら、それを拒否するかのように、フイッとそっぽを向かれてしまった。


長い緩く巻いた髪の隙間から覗く梨花の首筋が、泣いてるように揺れてるのは一体なんでなんだろう。