早くしなければ、授業に遅れてしまう。 そんな気持ちだけで簡単に選んでしまった、近道である体育館裏。 そもそも近道をしようとしたことでさえ、間違えだったのかもしれない。 『……っ』 鉢合わせて、しまった。 私なんか見えていないぐらい、相手の顔を真剣に見てる爽くんと、 同じく泣きそうなぐらい真剣な、梨花の姿に―…。 「…あたしっ、ずっと爽のことが好きだったんだ。」 梨花には本当に、私の姿が見えていなかったらしい。