カロン、と。 涼しげな音を立てて、不意打ちに触れてくるあの冷たい感触。 そして、私の髪を軽くかき乱しながら、少しだけ小さな刺激を与えてくる指輪。 …あの指輪をしているということは、奴もそろそろ結婚するのかもしれない。 『……。』 なんとなく、気分が優れなかった。 それは佑くんが引っ越すからか、いなくなるからかはわかんないけど。 やっぱり、なんとなく気分が優れない。