私は、揺れている。
自分から“戻れない”って、言ったくせに。
別れだってちゃんと、受け止めたはずだったのに。
私は恋人という名前で、佑くんを引き止めようとしている。
『結婚、かぁ…。』
無意識に、吐き出された言葉。
幼い私と佑くんと佑くんのお姉さんが写る写真をなぞりながら、私は静かに考えていた。
―…私は、自分の心でさえよくわかっていないのかもしれない。
引き止めたいのは、佑くん。
側にいなくなって寂しいと思うのは、佑くん。
でも“結婚”という単語を聞いて出てきたのは、あの人だったんだから。
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