「…だから、誰もいない男子便所で吸ってるんじゃん。」



その明らか不自然な口調を、なにも気づかないフリをしていく先生の心が痛くて。

だけど、やりやすくて。



体育館裏の壁の窓は、男子便所と通じるという新事実に、私は素直に笑うことができて。



…どうやら先生は、ここでいつも、隠れてタバコを吸っているらしい。




『…いけないんだ。』



泣きはらした顔を、見られないように。


自然に背けた顔は、自然と笑顔も失わせていた。