『先生…。』
―…あなたが。
あなたが来てくれたことが、一瞬でも嬉しく感じたんだよ。
「……えっ。」
私がいることを、先生は全く持って、予想できていなかったみたいで。
見下ろした先に私がいたことに驚いた先生は、珍しく動揺したように小さく声を漏らす。
先生は私が寄っ掛かっている壁の窓から身を乗り出し、左手にはタバコが添えられていた。
「…なんでお前、ここにいるわけ…?」
まだ動揺を抑えきれない先生は、いつものように装いつつも口調が揺れていて。
自分の身を落ち着かせるように、タバコを握りしめていた。