まだ、頭のどこかで可能性が残っていた。 梨花が話を聞いていないんじゃないかという淡い期待と、 “友達”だからと許してくれるような、わずかな光。 …でもね。 そんなもん、簡単に崩れ落ちていくんだね。 「なんで、爽と一緒にいたの?」 まるで、針のようだった。 梨花の一つ一つは、なにも用意していない私の心をグサグサに突き刺さっていく。 ……大丈夫。 まだ、“あの話”が聞かれていたという、確信はない。