「まぁ、簡単に言えば俺の一目惚れだった」
そして、またキスをする
「丈瑠?あたしを選んでくれてありがと。じゃあ、寝るね」
そういった瑠夏はあの時と同じような満面の笑みだった
スヤスヤと寝息を立てる瑠夏の頭を撫でる
俺にくっついて眠る姿も変わってない
健斗達が産まれてからはほとんど休めてないはず…
だから、体調を崩すんだ
瑠夏自身は“大丈夫”とか言ってるけど実際は大丈夫じゃない
健斗達が居るから甘えるのだって我慢してるのが分かる
甘えてる部分を見せたくないんだろう
だから、こういう時くらい思いっきり好きなようにさせたい
俺が初めて一目惚れして一緒に過ごしていくうちに凄く楽しくて離したくないと思った
“この子となら未来を約束しても大丈夫“って思ったのが瑠夏だったんだ
毎日感じる君の温かさ
それが凄く安心出来た
子育てしながらいろんなことをするのは大変だけど…
君が居るから大丈夫
今日も子供達と君の温もりを感じながら過ごすのです
瑠夏Side
あれから3年の月日が経ち高校を卒業してからあたしは“山岸瑠夏”から“小野寺瑠夏”となった
だけど、大学に通う間は理由を話して“山岸瑠夏”として通わせて貰っている
お母さんは大学進学を反対したけどお父さんは賛成で…
“4年間の間にたくさんの資格を取りなさい”だそうだ
子供も居るしお金の心配もしたんだけど“心配するな”って言われた
健斗が産まれてから大学に行くなら通信制の大学に通うことを決めていた
大学生になってから愛花も産まれたから大変…
子育てやバイトや学業は大変だけどそれなりに充実してる
丈瑠も手伝ってくれるしね
子供が産まれてからは喧嘩もしてない
苛々する時もあるけど丈瑠が抱きしめてくれる
21歳になった今、このあたしが2人の子供の母親なのです
そして今は、久しぶりに体調崩してしまって愛花達は光莉さんに預けて休養中
ここ数日、頭が痛くて市販の薬を飲んだけど効かなくて丈瑠に病院に連れて行かれた
病院嫌いなんだけどな…
でも、健斗達が居なくて静かだからゆっくり休養出来て回復してきている
「瑠夏?薬飲めよ」
丈瑠は薬と水を持ってきてくれた
「ありがとう」
病院に連れて行ってくれた日、丈瑠に“一目惚れだった”って言われて恥ずかしくなった
「瑠夏?」
顔を上げるとキスをする丈瑠
愛花達が居ないからかキスをすることが多いんだ
すんなりと受け入れてしまうあたしも単純なんだけど…
別に嫌じゃないし逆に嬉しい
愛されてるって実感出来る
あたしは思いきり抱き着いた
「愛花達が居ないから甘えモード全開だな」
「だって、不安なんだもん」
丈瑠が離れていきそうで…
そんなあたしのことを見透かしたのか…
「健斗や愛花が居るし俺は瑠夏から離れない」
あたしの頭を撫でてくれるスピードも昔から変わっていない
「それに…独占欲強いから瑠夏以外考えてねぇよ」
「恥ずかしいからそれ以上言わないで」
「だって、瑠夏は未だに告白されてるんだろ?最近、また可愛くなったし綺麗さも増してるし」
……えっ?
「何で知ってるの?」
「捺稀から聞いた」
「全部断ったよ?丈瑠しか見てないし。カッコイイって思うのも丈瑠だけだよ」
「俺だって妬くんだよ。瑠夏と離れたくねぇ」
あたしが不安になるように丈瑠も不安になるんだね
「さっきよりも強くギュッてして?」
丈瑠はあたしのお願いを聞いてくれて抱きしめてくれた
響の時には感じなかった温かい温もり
「可愛すぎるんだよ」
「あたし、可愛くないもん…」
周りは皆、可愛いから丈瑠と居て良いのか不安になるの
「瑠夏は可愛いよ?健斗達が産まれてから尚更ね。」
丈瑠に“可愛い”って言ってもらえるだけで未だに嬉しいや
「健斗や愛花が居て我慢してた。本当はずっと甘えたかった」
「言ってくれれば良かったのに。」
「だって、丈瑠も忙しいでしょ?だからあたしの我が儘になんて…」
付き合ってられないよね?
「瑠夏は無理しすぎだ。涙流しながら寝てるの放っておけねぇよ」
ダメだ…。丈瑠の前だと安心しちゃって涙腺弱くなる
「小さく包まって泣いてるから抱きしめたくて仕方ない」
丈瑠…気づいてたんだ。
あたしが泣いてること。
起きたら涙が流れてるんだけどね
変な夢を見たわけでもないのに。
「本当は気分転換したいと思っても愛花達が居るって思ったら頼れなくて…」
あたしが泣いたり甘えたりしたらダメだよね
これでも母親なんだからあたしがしっかりしなきゃ
「瑠夏…?無理してない?」
……えっ?
「確かに俺達は2人の子供の親だけど…たまには我が儘言っても良いよ。俺も瑠夏に頼りっぱなしだから疲れてるだろ?」
「あたしの方が丈瑠に頼りっぱなしで何もしてあげれてないよ。」
「俺、バイトで忙しくて健斗達の相手も瑠夏の相手も出来てないしな」
丈瑠は優しすぎるんだ
「2人とも居ないし散歩がてら買い物にでも行くか?」
「うん!!良いの?」
「もちろん。久しぶりに2人で出掛けよう。だいぶ体調も戻ってるみたいだし」
丈瑠が看病してくれたおかけでだいぶ楽になって来ている
「準備してな?」
あたしは丈瑠に言われ急いで準備する
軽く化粧をし花柄の真っ白いワンピースにヒールの高くないサンダルを履く
「瑠夏、行くぞ?」
丈瑠はあたしの手を握ってくれた
嬉しくなってあたしもその手を強く握り返す
2人で出掛けるのとか本当、久しぶり
2人が居るとなかなか出掛けること出来ないんだよね
「ねぇ、2人の洋服見に行っても良い?」
「あぁ、良いよ。瑠夏も好きなのあったら自分の洋服買いな」
ワンピース欲しかったから買おうかな
ショッピングモールに行き健斗と愛花の洋服を買って自分の気に入った洋服も見つけた
丈瑠にもなにかしたいんだけどな…
「丈瑠ー?何か欲しいものないの?」
「俺?瑠夏が隣に居てくれればそれで良い」
立ち止まり握ってる手と逆の手であたしの頭を撫でながら優しく微笑む
「瑠夏と子供達2人が居てくれれば良いよ。今はその他に何もいらない」
そういった丈瑠は何処かカッコイイ
「るーかっ!!」
誰かに自分の名前を呼ばれて振り返る
そこにいたのは響と美貴だった
「丈瑠達も2人でデートか?」
そう、大学生になってから響と美貴が付き合い始めたんだ
最初は気まずかったけど丈瑠もあたしも受け入れた
報告してくれた時、2人ともとても幸せそうだったから