「やっぱり丈瑠って温かい」
「そうか…?」
「うん。安心する。今まで本気で好きな人と付き合ったことなかったから尚更」
「俺だって同じ。俺達って最初から似てたのかもな」
瑠夏だからありのままの自分で居られる
瑠夏に出会って人の温かさを知った
瑠夏が笑ってくれるから俺だって昔のことが嘘のように笑えてるんだ
何から何まで瑠夏には感謝だな
多分、瑠夏も同じことを思ってるだろう
「今日も疲れただろ?寝ような」
「そうだね…1つだけお願いして良い?」
……お願い?
「キスしてほしいな…」
やっぱりコイツ可愛すぎる
俺の気も知らないで…
恥ずかしい気持ちに気付かれたくなくて瑠夏に深く口づけをした
「ありがと。おやすみなさい」
瑠夏は俺に抱き着いて眠りに就いた
君と一緒に居たくて…
出来るだけ離れないように心掛けた
というか離れたくなかったんだ
君はとても大事な愛しい人だから…
君が俺の隣で笑ってくれることが嬉しい
君の過去を知って更に傍に居たいって思ったんだ
瑠夏Side
今日はおばあちゃんの家に行く日
丈瑠と沙穂ちゃんも一緒にね
沙穂ちゃんは昨日からあたしの家に泊まってる
丈瑠は相変わらず毎日のように傍に居てくれるけどね
丈瑠がいると安心するんだ
沙穂ちゃんの荷物は光莉さんがまとめて持ってきてくれた
「瑠夏、準備出来たか?」
丈瑠は沙穂ちゃんを抱いたままあたしの心配をする
「うん。出来たよ」
時間からしてもうすぐお父さんが迎えに来てくれるはず…。
「沙穂ちゃん、準備出来た?」
丈瑠に抱かれたまま笑顔で頷く沙穂ちゃん
沙穂ちゃんって丈瑠にそっくりなんだよね
特に笑った時の顔が…
「瑠夏ー?居るか?」
「はーい。入って良いよ」
お父さんが来たみたい
「おじちゃん、おはよ。」
お父さんに懐いている沙穂ちゃんは近寄って行った
「沙穂、おはよ」
お父さんはいつの間にか“沙穂”と呼ぶようになっていた
もちろん丈瑠のことも“丈瑠君”じゃなくて“丈瑠”と…
それだけお父さんが2人を気に入った証拠だよね
あたしとしては嬉しいな
「お母さんは?」
「実頼は先に連れてったよ。さっ、母さんも父さんも瑠夏に会うのを楽しみにしてるから行こうか」
「うん。世蓮達も来てるんだよね?」
「あぁ、世蓮も蓮歩も来てるよ」
2人に会うのは久しぶりだなぁ。
お盆以来だからなんか緊張する
ましてや丈瑠まで一緒なんだもん
「瑠夏、荷物はこれだけ?」
「うん。ありがと」
丈瑠は荷物を車へと運んでくれた
咲那とのことがあってあたしのことを更に気にかけてくれるようになった丈瑠
本当に優しすぎる
「沙穂と車に乗っておくからあとは戸締まりは頼んだよ」
お父さんは沙穂ちゃんを抱き車へと向かっていた
「丈瑠?本当に良かった?せっかくのお正月なのに…」
戻って来た丈瑠に謝る
「心配すんなって。俺が瑠夏と居たいだけだし。でも、俺こそごめんな。沙穂と押しかけることになって…」
その心配はない
おばあちゃんの家って広いから何人でも止まれるの。
「さっ、早く戸締まりして行こうな?」
「うん。その前にギュッて抱きしめて?」
「おいで?」
文句も言わずに抱きしめてくれる丈瑠にあたしは嬉しくなって思い切り抱き着いた
丈瑠って温かい
凄く安心出来るんだ
「沙穂達が車で待ってるし行くか。奥の部屋の戸締まりしてくる」
ポンポンとあたしの頭を撫でて戸締まりをしに行った
あたしも近くの戸締まりをする
最近、身体がダルいと思うこと多いけど丈瑠に抱きしめてもらうと少し楽になる
頼ってばっかりだな…。
でも、丈瑠はあたしの精神安定剤なの
「瑠夏、戸締まりとその他の確認終わったか?」
「うん。終わったよ。いつも頼ってしまってごめんね?行こうか」
「気にするな。俺がしたくてしてるの」
「でも…。あたし何も出来てないよね」
「瑠夏は俺の隣に居てくれるだけで充分」
丈瑠はあたしの頭を撫でながら微笑んでくれる
「さっ、行くぞ」
あたし達は最後に玄関の鍵を閉めお父さん達が居る車へと向かった
丈瑠Side
瑠夏の体調も良かったり悪かったり…
そんな中、今日は瑠夏のおばあさんの家に行く日
何気に緊張してるんだよな
初めてだから…
隣には楽しそうにお喋りをする瑠夏と沙穂
2人を見てると微笑ましくなる
「丈瑠、緊張してるのか?」
「えっ?」
「なんか表情が固いからな」
忠弘さんは俺を呼び捨てで呼ぶようになった
何気、嬉しかったり…
認められた証拠だと思う
「そりゃあ、緊張しますよ。初めてですもん」
「ハハッ。父さんも母さん丈瑠のこと気に入ると思うけどな」
「だと良いですけど。」
なんか不安になってきた
「お父さん、いつものとこ寄ってくれる?」
いつものとこ…?
話しの内容に付いていけない
「分かった。丈瑠、一緒に付いて行ってくれるか?沙穂は俺が見とくから」
「はい。良いですよ」
一体、何処に行くんだ?
車を止めた先にはホームセンター
沙穂と忠弘さんはお留守番
「何を買うんだ?」
「えっとね…。ティッシュと食器洗い洗剤を頼まれてたの。トイレットペーパーと洗濯洗剤はあたしがあげようと思って」
「なんで日用品なんだ?」
もっと他の物があるはずなのに…
「お菓子とかでも喜ぶんだけどそれは世蓮が買って行ってるはずだから。実際、おばあちゃんはこっちの方が喜ぶの。」
そういうことか…。
瑠夏は買うものを見つけ出しいつの間にか支払いを済ませていた
「荷物は持ってやるよ」
「ありがと」
俺は瑠夏から重たい荷物を預かる
いつもだったら“自分で持つから良い”とか言ってるんだけどな。
最近は少しずつ頼ってくれるようになった
身体の調子が優れてないというのもあるんだろうけど…
「はい。沙穂ちゃんにはこれね」
車に戻り瑠夏が沙穂に渡したのは林檎ジュース
「お姉ちゃん、ありがと」
「どういたしまして。お父さんと丈瑠はこれ」
俺達に渡したのは缶コーヒー
「おっ、言うの忘れてたから買って来ないかと思った」
「お父さんがいつも此処で缶コーヒー買ってるのを知ってるから忘れないよ~!!」
いつの間に買ってたんだろ?
「瑠夏、ありがとな。でも良く分かったな?」
「どういたしまして。だって丈瑠はそれしか飲まないでしょ?それにお父さんと同じだったから覚えてた」
良く見てるな…