「良かったぁ。じゃあ、帰るね?お大事に」
捺稀と圭輔君は仲良く帰っていった
「相変わらず騒がしい奴らだな」
あの2人だもんね
「あの2人はやっぱり賑やかじゃないと。ねぇ…本当に良かったの?着いてきて貰って…」
「あぁ、瑠夏のことも心配だし捺稀の言うことは聞いてあげなきゃな」
捺稀、怒ったら怖いもんね
「ごめんね?ありがと」
いつも頼ってばっかりだからお礼言っておかなきゃね
----トントン
「どうぞ」
あたしの代わりに丈瑠が返事をする
「瑠夏ちゃん、体調はどうかしら?」
入って来たのは光莉さんと沙穂ちゃん
「ごめんなさい。いつも迷惑掛けちゃって…」
起き上がろうとしたけど丈瑠に止められた
「良いのよ。私達も苦には思ってないから。それに可愛い瑠夏ちゃんの為だもの。」
光莉さんは沙穂ちゃんと一緒にソファーに座る
「それに丈瑠が本気で惚れた子だし未来の丈瑠の奥さんでしょ?」
言われてみると恥ずかしい
「そういえば、お正月におばあちゃんのとこに行くんだって?」
「はい。毎年行ってますよ」
お父さんから聞いたのかな?
「丈瑠、今年は貴方も着いて行きなさい」
「…えっ、俺?」
「忠弘さんから言われたの。丈瑠も着いてきて欲しいって。」
丈瑠が居ればあたしとお母さんが喧嘩しないで済むから頼んだのかな?
「別に良いけど…」
「お母さん達は旅行に行くって行ってたから今年は行かなくて良いの」
「そういうことか…。瑠夏、俺が行っても大丈夫なのか?」
丈瑠も不安みたいだね
「大丈夫。でも、ごめんね」
「謝るなよ?」
「光莉さん、本当に丈瑠を連れて行っても良いんですか?」
光莉さんにも聞いてみる
「えぇ。丈瑠、せっかくだし、しっかりと挨拶して来なさいね?」
「言われなくても分かってるよ」
おばあちゃん達に自分の彼氏を紹介するってなんか恥ずかしいな…
ましてやそのうち旦那さんになる人だもんな
おばあちゃん達、丈瑠を気にいると良いけど…
「お母さん、沙穂は?」
不安げに聞く沙穂ちゃん
「そういえば、沙穂も居たんだったわね」
「母さん、沙穂も一緒に連れて行ったらダメか?もしOKなら久しぶりに2人でゆっくりして来れば?」
「私は良いけど…瑠夏ちゃん、沙穂まで連れて行っても大丈夫?」
あたしは別に構わない
「お父さんに懐いてるみたいなので大丈夫だと思います」
一応、聞いてみなきゃだけど…
お父さんのことだからすぐに許してくれると思う
お母さんだったら駄目って言いそうだけどね…
----トントン
「瑠夏、入るぞ」
入って来たのはお父さん
「朝も来たのにまた来てくれたんだ」
「愛美ちゃんから預かってる物があってな。暇だしまた来てみたんだ」
……愛美さんからの預かり物?
「後でゆっくり開けてみれば良いさ」
あっ、そうだ!!
今のうちに聞いておこう
「お父さん、お正月に沙穂ちゃんも一緒に連れてって良い?」
「あぁ、構わないよ。沙穂ちゃん、人がたくさん来るけど大丈夫かい?」
お父さんは沙穂ちゃんの目線に合わせて聞く
「うん。お兄ちゃんとお姉ちゃんが居れば大丈夫だよ」
「そっか。分かった」
お父さんは笑顔で沙穂ちゃんの頭を撫でる
「忠弘さん。すみませんね。沙穂まで…」
「良いんですよ。丈瑠君と沙穂ちゃんが居た方が瑠夏の気も紛れるでしょうからね」
お父さんは沙穂ちゃんを抱き上げた
「面倒は私達でみます。お2人でゆっくりして来て下さい。娘がお世話になってばっかりなので…」
お父さんが子供好きな人で良かった
「おじちゃん、ありがとう」
「いいえ。瑠夏、沙穂ちゃんはお前の妹のようなもんだろ?」
「うん。そうだね」
「良かったな。丈瑠君、こんな娘だけどよろしく頼むよ?」
「はい。分かりました」
「じゃあ、帰るから」
そう言って沙穂ちゃんを降ろし頭を撫でて帰って行った
「沙穂、私達も帰ろうか」
「うん、お姉ちゃん、またね」
あたしは寝たまま沙穂ちゃんに手を振る
「光莉さん、お見送りいけなくてごめんなさい」
「良いの。気にしないで。じゃあね」
光莉さんは沙穂ちゃんを抱き病室を出て行った
「丈瑠、お見送り行かなくて良かったの?」
「あぁ、瑠夏の傍に居る」
優しすぎるよ…。
「本当に良かった?お正月に一緒に来てもらって」
「大丈夫。祖母さん達は旅行が好きでな。何年かに1度親父と母さんの両方の家族で旅行に行ってるんだ。」
……そうなんだ
「だから、心配しなくて良い。俺も瑠夏の祖母さん達に会ってみたいし」
「お父さんのお母さん達なんだ。お母さんの方は亡くなったの」
あたしが小さい時に…
だから、顔は知らないに等しい
「俺こそごめんな?急に着いて行くことになってしまって…」
「良いの。お父さんが言ってたように丈瑠達が居た方が気も紛れるから」
お母さんと喧嘩しないで済むから助かった
丈瑠が居る事でお母さんの口数が減るはず…
----トントン
「瑠夏ちゃん、ご飯食べれる?」
千絵さんが心配そうに入って来た
「少しだけなら…」
「無理せずにゆっくり食べてね」
丈瑠にはコンビニの袋を渡していた
千絵さんは渡すものだけ渡して出て行った
「瑠夏、食べれるか?」
「うん。食べる」
あたしは少しずつゆっくりと食べ始めた
「ごちそうさまでした」
半分くらい食べて丈瑠に片付けてもらった
頼りっぱなしで申し訳ないんだけどね……。
「体調戻ってないし早く寝ろよ。じゃないと寝不足でまた体調崩すぞ。」
いつもあたしのことを心配してくれる丈瑠。
ある程度落ち着いたら何かお礼しなきゃいけないかな…
「分かってるよ…。いつも頼ってばっかりでごめんね?」
「大丈夫だから…瑠夏は今まで甘えられなかった分、甘えられる時に甘えなきゃな」
あたしは歯磨きをしてベッドに横になる
丈瑠は一時も離れずにあたしの傍に居てくれた
“丈瑠が離れて行ったら
”
なんて考えると怖い
それだけあたしは丈瑠を必要としているんだ
「丈瑠、ありがとね」
「俺が好きでやってることだから気にするな」
あたしの頭を撫でながら笑顔を向けてくれた
「おやすみなさい」
あたしは丈瑠の手を握ったまま眠りについた
君が笑顔になればそれで良い
喜んでくれると俺まで嬉しくなる
今まで、気付いてあげれなかったことが多かった
だから、その分、君が笑顔で居てくれることを望んだ
どうか、これから先も俺の隣で笑っていて下さい
それが望みだから…