「痕付けすぎなのよ。瑠夏ちゃん隠してるけど」
母さんにはバレた?
「確かに周りからは見えないけど私を騙せたとでも?」
やっぱりバレてるんだ…
「独占欲が強いのは優一にそっくりなのね」
「親父もそんなに強かったの?」
「えぇ。貴方達は性格までそっくりなのよ」
そんなに似てるのか…
「沙穂もまだ甘えたい時期みたいだし瑠夏ちゃんを取られるのは嫌かもだけど許してね」
それは分かってる…
沙穂が寝てから可愛がってやるよ
俺に出来ることならしてあげたいんだ
「光莉さん、沙穂ちゃん寝ました」
「あら、そう?ありがとう。丈瑠、さっさとお風呂入って来なさいよ」
“ウフッ”っと笑う母さんは確実に面白がってる
「瑠夏ちゃんが最後。貴方らしく瑠夏ちゃんを愛してあげなさい」
だけど何処か真剣だった
俺はさっさとお風呂に入る
自分の部屋に戻ると瑠夏がベッドに座っていた
「どうした?」
ニコッと笑って抱き着いて来た
「沙穂の世話お疲れ様」
俺は瑠夏の頭を撫でてやる
撫でられることが嬉しいみたいだから…
撫でてやると瑠夏は笑顔になる
「丈瑠に渡したい物があるの」
抱き着いたまま呟く
その後、瑠夏は俺のテーブルに置いてある小さい袋を手に取った
「はい、プレゼント」
「開けて良いのか?」
ニッコリ笑いながら頷いた
中にはネックレスが入っていた
でも、変な形してるな
何かのカケラみたいな…
「これ、あたしとお揃いなんだぁ。くっつけるとね…ほら。」
瑠夏が持っているやつとくっつけるとハートの形になった
ペア…なんだな。
「何が良いかペアの分からなかったからネックレスになったんだけど良かったかな?」
「あぁ、ありがとな。大事にする。」
瑠夏からプレゼント貰えるなんて思ってもなかったな
「良かったぁ。喜んでくれて。バイト代そんなに使わなくて貯めてたんだよね」
「俺のために良かったのか?」
彼女からのプレゼントって初めてだから正直、戸惑う
「うん。彼氏が出来たら何かしてあげたいって思ってたから」
……優しすぎるって。
俺達はベッドに寄り掛かりながら話をする
「これは俺からな?」
俺は小さな箱と紙袋を渡した
喜んでくれると良いけどな
「これ、あたしに?あたしが開けても良いの?」
「どうぞ。瑠夏へのプレゼントなんだから」
瑠夏は恐る恐る小さな箱を開ける
「これって…リングだよね?それに洋服まで…」
「俺からのプレゼント。気に入ってくれるか分からないけど。沙穂の面倒も見てもらってばっかだしな」
「ありがと。嬉しい」
葉月高校は提出物には煩いが校則はそこまで厳しくない
だからネックレスやリングをつけてても何も言わないんだ
「なぁ…瑠夏。」
「ん…?何?」
「俺に出来ることって何?瑠夏は俺に何して欲しい?」
いきなりの質問に驚いている瑠夏
でも、聞いておきたかったんだ
しばらく俺の肩に頭を乗せ考えて出た答えは…
「一緒に居てくれればそれで良いよ?他は何もいらない」
もっと贅沢なこと言うかと思ってた
「本当にそれで良いのか?」
「うん。寂しいからさ。誰かに隣に居て欲しい。特に丈瑠は落ち着く」
そう言って貰えると嬉しい
「他になんかあったら言って良いからな?」
「分かった。思いっきり甘えるからね?」
甘えさせてあげなきゃな
「じゃあ、寝るか?」
「丈瑠も一緒に寝てくれる?」
コイツ…可愛いこと言いやがって。
「俺が嫌って言ったら?」
ちょっとイジめてみよう
「嫌だ。寝れないから傍に居て」
やっぱり可愛すぎる
「丈瑠の匂いって落ち着くの」
上目遣いで俺を見てくる瑠夏
「分かったから。寝ような?」
俺は頭を撫で続けた
「我が儘言ってごめんね?」
「瑠夏が良いなら俺は何でもする」
「フフッ。そんなこと言ってくれるのは丈瑠だけだよ」
なんて言った後、恥ずかしくなったのかすぐに顔を埋めた
しばらくして寝た瑠夏にキスをして俺も瑠夏を抱きしめて眠りに就いた
また同じことが繰り返しされ始めた
本当はキツくて…
辛くて…。
君に甘えたくて…
でも、君は巻き込みたくない
その気持ちの方が強かった
だから、離れた
あたしが出した答え…
どうか許して下さい。
瑠夏Side
夏休みも終わり今日は始業式
丈瑠と一緒に買い物行ってあたしが不安定になってから更に優しくなった
「瑠夏ー?沙穂が待ってるから行くぞ?」
始業式も午前中で終わり
そして今日は沙穂ちゃんの誕生日なのです
あたしが買った洋服喜んでくれると良いな
あたしはといえば退院してから一度も家に帰らず丈瑠の家に居座ってる
沙穂ちゃんにプレゼント渡したら一度は家に帰らなければ…
「「ただいま~」」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんお帰りなさい」
既に沙穂ちゃんは帰って来ていた
「沙穂ちゃん、ちょっとおいで?」
あたしは沙穂ちゃんを連れて部屋に戻る
「はい。お誕生日おめでとう」
ラッピングされた袋を渡す
沙穂ちゃんには大きかったね
「わーい。ありがとう」
喜んでくれたみたいで良かった
「沙穂、良かったな」
着替え終わった丈瑠が入って来た
「うん。お母さんのとこ行って来るね」
沙穂ちゃんは自分と変わらないくらいの大きさの袋を手に光莉さんの所へ行ってしまった
「瑠夏、ありがとな」
「ううん。良いの。沙穂ちゃんが喜んでくれるだけであたしも嬉しい」
「久しぶりに見たな。沙穂のあんなに嬉しそうな顔」
確かに嬉しそうだった
「ねぇ…丈瑠。あたし帰りたくないけど家に帰るね?」
「大丈夫なのか?」
「何とも言えない。でも、さすがに家に帰らなきゃ。」
「そっか…何かあったら連絡しろよ」
「うん。ありがと」
丈瑠はあたしの頭を撫でる
このスピードが安心出来るから好きなんだ
「途中まで送る。荷物はこれだけか?」
「うん。ごめんね」
「謝らなくて良い。瑠夏はもっと甘えな」
こんなこと言ってくれるの丈瑠だけだよ…
「じゃあ、行くぞ」
光莉さんに挨拶して帰ろ
「光莉さん、家に戻りますね?」
「あら、そう?またおいでね。待ってるから」
「ありがとうございます」
光莉さんは優しく微笑んでくれた
「お姉ちゃん。抱っこ」
あたしは沙穂ちゃんを抱き上げた
「沙穂ちゃん、また来るね。」
「えぇ~もう帰るの?」
沙穂ちゃんは悲しそうな顔をした
「また遊びに来るから」
「絶対来てね。また沙穂と遊んで。」
あたしは笑顔で頷く
必死にお願いする沙穂ちゃんが可愛くて仕方ない