【完】優しい彼の温もりに包まれて

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隣では気持ち良さそうに眠る瑠夏


ところどころに残っているキスの痕


俺、独占欲強いな…


どんな瑠夏も愛おしくて仕方なかった


離したくなかった


壊れるんじゃないかってくらいキスをした


「ごめんな…」


呟きながら頭を撫で続けた


「…ん?丈瑠?」


「気がついたか?」


しかし、瑠夏はすぐに顔を埋めた


「やだっ、恥ずかしいから見ないで…」


「いや、可愛かったよ?瑠夏ちゃん」


「言わないで…」


「俺、本当の事を言っただけなんだけど。」


「それでも、恥ずかしいの」


瑠夏は俺に抱き着いて来た


「もう1回…キスされたい?」


「嫌っ!!」


そんな即答しなくても…


即答されたら俺、凹む。
「良いや。まだまだ先は長いから。でも、鏡で見てみれば?」


“えっ?”と呟きながら鞄から鏡を取り出す瑠夏


「ちょっと…痕、付けすぎ」


まだ良いじゃん。


首筋には付けてないし?


制服で隠れる場所だから


「丈瑠って独占欲強いよね?」


「それは瑠夏だけ…」


「あたしも人のこと言ってる場合じゃないけど」


それは俺のこと考えてくれてるんだよな…?


そう思うと笑みが零れた


「丈瑠、その笑み気持ち悪いよ?」


「しょうがないじゃん。瑠夏と居ることか出来るのが嬉しいんだから」


俺は瑠夏の顔が赤くなったのを見逃さなかった


「丈瑠ー?瑠夏ちゃーん?帰って来てるの?」


下から呼ぶ母さん


「帰って来たんだ。お帰り。何か用?」


とりあえず叫び返してみる
「ご飯出来たわよ?」


「わかった。すぐ行く」


母さんに軽く返事をし部屋に戻る


「瑠夏、飯出来たって」


「あっ、うん。」


パッと何かを隠したな…


…まぁ良いや。


「丈瑠?」


「何?」


瑠夏に呼ばれたから瑠夏の目線に合わせてみる


「今日はごめんね?ありがと」


----チュッ


不意打ちなんてズルい


だけど嬉しかったりする


精一杯背伸びをしてキスする瑠夏が可愛かった


真っ赤になりながらも何もなかったようにリビングへ行く瑠夏を見届けた


「丈瑠、早く食べなさいよ」


しばらく時間を置いてリビングへ行く


母さんは何か楽しそう


瑠夏は食べ終わり沙穂とお風呂に入って隣の部屋で遊んでいるらしい


「あんた、意外に独占欲強いのね」


……はっ?


なんてことを言い出すんだ?
「痕付けすぎなのよ。瑠夏ちゃん隠してるけど」


母さんにはバレた?


「確かに周りからは見えないけど私を騙せたとでも?」


やっぱりバレてるんだ…


「独占欲が強いのは優一にそっくりなのね」


「親父もそんなに強かったの?」


「えぇ。貴方達は性格までそっくりなのよ」


そんなに似てるのか…


「沙穂もまだ甘えたい時期みたいだし瑠夏ちゃんを取られるのは嫌かもだけど許してね」


それは分かってる…


沙穂が寝てから可愛がってやるよ


俺に出来ることならしてあげたいんだ


「光莉さん、沙穂ちゃん寝ました」


「あら、そう?ありがとう。丈瑠、さっさとお風呂入って来なさいよ」


“ウフッ”っと笑う母さんは確実に面白がってる


「瑠夏ちゃんが最後。貴方らしく瑠夏ちゃんを愛してあげなさい」


だけど何処か真剣だった
俺はさっさとお風呂に入る


自分の部屋に戻ると瑠夏がベッドに座っていた


「どうした?」


ニコッと笑って抱き着いて来た


「沙穂の世話お疲れ様」


俺は瑠夏の頭を撫でてやる


撫でられることが嬉しいみたいだから…


撫でてやると瑠夏は笑顔になる


「丈瑠に渡したい物があるの」


抱き着いたまま呟く


その後、瑠夏は俺のテーブルに置いてある小さい袋を手に取った


「はい、プレゼント」


「開けて良いのか?」


ニッコリ笑いながら頷いた


中にはネックレスが入っていた


でも、変な形してるな


何かのカケラみたいな…


「これ、あたしとお揃いなんだぁ。くっつけるとね…ほら。」


瑠夏が持っているやつとくっつけるとハートの形になった


ペア…なんだな。
「何が良いかペアの分からなかったからネックレスになったんだけど良かったかな?」


「あぁ、ありがとな。大事にする。」


瑠夏からプレゼント貰えるなんて思ってもなかったな


「良かったぁ。喜んでくれて。バイト代そんなに使わなくて貯めてたんだよね」


「俺のために良かったのか?」


彼女からのプレゼントって初めてだから正直、戸惑う


「うん。彼氏が出来たら何かしてあげたいって思ってたから」


……優しすぎるって。


俺達はベッドに寄り掛かりながら話をする


「これは俺からな?」


俺は小さな箱と紙袋を渡した


喜んでくれると良いけどな


「これ、あたしに?あたしが開けても良いの?」


「どうぞ。瑠夏へのプレゼントなんだから」


瑠夏は恐る恐る小さな箱を開ける
「これって…リングだよね?それに洋服まで…」


「俺からのプレゼント。気に入ってくれるか分からないけど。沙穂の面倒も見てもらってばっかだしな」


「ありがと。嬉しい」


葉月高校は提出物には煩いが校則はそこまで厳しくない


だからネックレスやリングをつけてても何も言わないんだ


「なぁ…瑠夏。」


「ん…?何?」


「俺に出来ることって何?瑠夏は俺に何して欲しい?」


いきなりの質問に驚いている瑠夏


でも、聞いておきたかったんだ


しばらく俺の肩に頭を乗せ考えて出た答えは…


「一緒に居てくれればそれで良いよ?他は何もいらない」


もっと贅沢なこと言うかと思ってた


「本当にそれで良いのか?」


「うん。寂しいからさ。誰かに隣に居て欲しい。特に丈瑠は落ち着く」


そう言って貰えると嬉しい
「他になんかあったら言って良いからな?」


「分かった。思いっきり甘えるからね?」


甘えさせてあげなきゃな


「じゃあ、寝るか?」


「丈瑠も一緒に寝てくれる?」


コイツ…可愛いこと言いやがって。


「俺が嫌って言ったら?」


ちょっとイジめてみよう


「嫌だ。寝れないから傍に居て」


やっぱり可愛すぎる


「丈瑠の匂いって落ち着くの」


上目遣いで俺を見てくる瑠夏


「分かったから。寝ような?」


俺は頭を撫で続けた


「我が儘言ってごめんね?」


「瑠夏が良いなら俺は何でもする」


「フフッ。そんなこと言ってくれるのは丈瑠だけだよ」


なんて言った後、恥ずかしくなったのかすぐに顔を埋めた


しばらくして寝た瑠夏にキスをして俺も瑠夏を抱きしめて眠りに就いた
また同じことが繰り返しされ始めた


本当はキツくて…


辛くて…。


君に甘えたくて…


でも、君は巻き込みたくない


その気持ちの方が強かった


だから、離れた


あたしが出した答え…


どうか許して下さい。