季節は夏から秋へと変わろうとしていた。


海水浴客や海の家で賑わいを見せていた海も、いつもの落ち着いた海岸へと戻る。


桟橋の入り口のいつもの定位置に座り、海を見つめる。


海の香り、波の音、風を体いっぱいに感じる。


最近になって、爺ちゃんのお古の一眼レフをもらってからはそいつもここに連れてくる。


海はいつも同じで変わらないと思っていた。


でも、毎日くるようになってわかったこと。


それは、人と同じように表情を持っていることを知った。


楽しそうにキラキラと輝く海、黒く濁り不安を抱えたように小さくさざめきたつ水面、明日への希望を持ち力強く打ちよせる波打つ際…


僕はそんな海を毎日写真で撮るようになった。