「空を飛べる…空を…そうなんだ…岳人ってすごい選手だったんでしょ。棒高できなくなって悔しい？インターハイも夢だったんでしょ…」



「うん。でも、そんなことはどっちでもよくなった。ただ、もう一度飛べたらなぁって思うことはあるけどね…怪我をして後悔ないと言ったら嘘だけど、しかたがないことだし怪我をしたことで僕を覚えてもらえてくれることもある…ルカのように…」




「不思議だね…なんだか岳人とは前からの知り合いみたいな気がする…あのね、私の両親は私の試合の日に事故にあって亡くなったの。私はそれを知らないで水泳のことばかり考えてその日を過ごしていた。そんな自分が辛くて、もう泳ぐのやめようって思った。でもね、和樹…川崎先生が私を支えてくれた。和樹のためならって泳いで、泳いで…いつか私も和樹にとって必要な人となれるようにって…でも、いくら頑張ってもダメなものは駄目みたい…わかってるの、あきらめなくちゃって…でも、私の気持ちは変えられない。苦しいんだけどね…」