そして、今。
右足が動かなくなって、左のふくらはぎにはスパイクで切ってしまった傷が残った。
翼を失ってしまった僕は、もう、僕じゃない気がした。
辛くて、悲しくて、悔しくて…
…そんな感情じゃ、表せないもかもしれない…
とにかくもう、空を飛べないことに絶望を感じていた。
泣きたい、でも泣けなかった。
中学生の僕には一人になれる場所がない。
それに泣いても怪我の前に戻れるわけもないことを分かっていたから。
毎日、学校では慣れない松葉杖で教室移動するのに精一杯だったし、心配している親にこれ以上、泣き顔なんて見せるわけにはいかなかった。
校庭や体育館から絶え間なく聞こえる声や足音。
僕はもう、その音の中には入れない。
翼を失った鳥はどうしたらいいんだろう…
夕方遅くまで校庭を走り、飛んでいた毎日。
明るい時間に家に帰るのはきつい。
あてもなくふらふらと道を歩くと、なんだか風が呼んでいるような気がした。
導かれるように歩いていくと海が見えた。
それから僕は、放課後は海に行くようになった。
もちろん、松葉杖で歩くのは容易なことではない。
でも、雨の日以外はほぼ毎日といっていいほど海に行く。
海へ行くと僕が泣いても、波が隠してくれた。
波の音が僕の心を包んでくれたから。
右足が動かなくなって、左のふくらはぎにはスパイクで切ってしまった傷が残った。
翼を失ってしまった僕は、もう、僕じゃない気がした。
辛くて、悲しくて、悔しくて…
…そんな感情じゃ、表せないもかもしれない…
とにかくもう、空を飛べないことに絶望を感じていた。
泣きたい、でも泣けなかった。
中学生の僕には一人になれる場所がない。
それに泣いても怪我の前に戻れるわけもないことを分かっていたから。
毎日、学校では慣れない松葉杖で教室移動するのに精一杯だったし、心配している親にこれ以上、泣き顔なんて見せるわけにはいかなかった。
校庭や体育館から絶え間なく聞こえる声や足音。
僕はもう、その音の中には入れない。
翼を失った鳥はどうしたらいいんだろう…
夕方遅くまで校庭を走り、飛んでいた毎日。
明るい時間に家に帰るのはきつい。
あてもなくふらふらと道を歩くと、なんだか風が呼んでいるような気がした。
導かれるように歩いていくと海が見えた。
それから僕は、放課後は海に行くようになった。
もちろん、松葉杖で歩くのは容易なことではない。
でも、雨の日以外はほぼ毎日といっていいほど海に行く。
海へ行くと僕が泣いても、波が隠してくれた。
波の音が僕の心を包んでくれたから。