「もしもし…」


「おー、昨日はサンキュウな。それでさ、なんだ、写真見れるか?」


…なんだよ、先生。名前も言わずいきなりすぎるよ…


「高橋先生、写真ですか?今、店で見てますけど…」


「おーそうか、じゃぁ、昼過ぎ行くからな。よろしく」


…本当に一方的だ…




「こんちわー」


昼過ぎに先生が店に来た。


「おぉ、いい写真撮れてんじゃねーか。さすが頼んだ俺の目に狂いはなかったか…この写真をお前が撮ったって聞いてから才能あるんじゃないかって」


先生はパネルにしてある、僕が海で撮った写真を見て言った。


「じゃぁ、これと、これ、うーん、こっちかなぁ…それで表紙はこの色で…あれっ…これ
おい、瀬野、笹本と知り合いなのか?」


先生はルカの写真を見て言った。


「いいえ…知り合いっていうか、この試合で…」


「明栄和の川崎先生の親戚らしいんだけど…、あぁわがままだ大変だよな…でも、両親を事故で亡くして一時期水泳から離れたらしいし。人には色々あるからな、抱えているものがさ…難しいよな…」



「そうなんだ…」




…さみしそうな眼…あきらめたような表情も…



…そう、人には抱えているものが色々あるんだ…