「これがうちの生徒だから…」


そう言って、先生は螢光マーカーで名前の所に印をしてある冊子を渡した。


「…で、帽子はこれ、結構目立つだろ…」


銀色の水泳キャップ。学校名が七色のローマ字ではいっている…派手っ…


「すっごい、わかりやすいですね…」


「そうだろ、いいセンスだろう。俺の提案だ」


…センスは誉めてないって… しぶしぶ先生の笑顔に合わせて笑う。


「あっ、お前のももらったから、これしておけば怪しまれなくて済むからな…カメラなん
てもってウロウロしてるとさ、ほらっ、あれだろっ…しかも被写体が水着姿だからさ…」


…ウロウロって、あれだろって…先生が写真とれって…


そんな不服そうにしている僕の頭から、関係者がつける名札を掛けた。


「じゃ、よろしくなっ。昼飯は弁当でるから、またそのくらいには戻ってくっからよ」


…弁当って、あたりまえじゃねー…それくらい用意してくれよな…