オレンジ色の海。


桟橋には肩を寄せ合う二人や釣り人の影が、切り絵のように見える。

さっきまで、太陽はギラギラと全てのものを照らしていた。

海はそんな太陽の熱気に対抗するかのように、青く青く輝いていた。

どんなに照らされてもその色を変えることはなかった…のに…


太陽はだんだん海に近づき、海は太陽を受け入れようとしている。

今まであんなにお互いの力を見せ合っていたはずなのに、


太陽は海を包むように…

海は太陽を溶かすように…

お互いをやさしく求めあうように…

一つになっていく。



だから…


夕暮れは人の気持ちも優しくしてくれるのだろう。


だから…


夕暮れは誰かを求めたくなる切ない気持になるんだろう。