「はい。空いてます」 それでも、こう云ってしまう僕が居た。 単純に、僕が彼女に会いたいんだと気付いた。 <ありがとう。夜、そこへ行くわ> 彼女は柔らかくそう云って、ふと気付いた頃には、冷たい機械音が響いていた。 僕は携帯を左手に握り締め、彼女のピアスを右手に握り締めた。 右手には、少し血が滲んでいた。 夜になるのは、思ったより早かった。