「んっ……」
みやびさんが目を覚ます。
覚醒してない瞳を、こちらに向けて、
「………直…」
柔らかく、至極柔らかく微笑んだ彼女に、胸が酷く締め付けられた。
「みやび…さん……」
彼女は僕が呼んだ名前に、うんと頷き、衣服を纏った。
あぁ、また今日も、彼女は行ってしまうのか。
また苦しい思いに苛まれた。
だけど、だけど僕には、何も出来なくて。
「直、ねぇ…キスして?」
甘く囁く彼女に、ただ従うばかりで。
本当は……
本当は。
僕が本当は、ずるいヒトなんじゃないかって。
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