僕は今日は、今日だけは起きていよう…そう思った。
柔らかな肌に包まれ、彼女の吐息が渇く近さで、僕の耳に、
「う……ふっ………」
泣き声が響いた。
どうしたの?
何かあったの?
僕に話してみて。
いくらでも掛ける言葉はあったはずだ。
でも僕は、
「泣かないで…」
苦し紛れのように、彼女にそう云った。
彼女は息を止めるように静かになり……その後で。
耳に、つんざくように轟く声と、染み込んで行く涙に溺れて行った。
僕は何か、間違えていたのだろうか。
これは、僕が云って良い言葉だったのだろうか。
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