「直…………綺麗な名だわ…」

ふと、みやびさんは呟く。
どうしてかみやびさんの瞳は悲しげで。
そんな瞳に、僕はマヌケに映っていた。

「みやびさんだって…綺麗ですよ」

そう云った僕に、

「みやびは、綺麗だけど…名を持つ私が汚いのよ」

フッと眉を下げ、吐き出すように囁いた。

娼婦だから?
そんなこと………生きる為にして来たことでしょう?
僕はそんなことで、君を軽蔑したりはしないよ。

そう口にしようと思ったら、みやびさんはまた僕に寄り添い、僕の眠気を誘った。

温かい彼女からは、あの悲しげな瞳から伝わる冷たさは感じなかった。