そんな無邪気なエリーゼを見て、炉惟は(――これで良かったんだ――)と自分に言い聞かせた。


「炉惟〜?どうしたの。オバ様とオジ様がリビングでお待ちになっているわ。」


立ち止まっている炉惟に、エリーゼは不思議そうに首を傾げて顔を覗き込んでくる。



「――いいや、なんでもないさ。」


俯いていた顔を上げて首を振った後、柔らかな赤色の絨毯を踏みしめて歩き進めた。