「…本当に、少しだけだからな。」




「…もう一度、陸斗とこの海に来れて良かった…」




納得いかない様子で陸斗は渋々、砂浜の上に腰を下ろすと、瑛奈は話を始めた。






「……うん。」




「…最後に来たのが別れた時だったから

…この海の思い出を

…悲しい思い出じゃなくて

…良い思い出に変えたかったんだ。」




黙って海を見つめる陸斗の肩にもたれ掛かりながら、瑛奈は今にも消えそうな声で話を続けた。






「…瑛奈…愛してる…」




「…きぃも…愛してるよ…」




2人は寄り添うように座り、海を見つめながら言った…




“愛してる”






「………。」




「…俺は…瑛奈がいないとダメなんだ

…瑛奈がいないと笑う事すら出来ない。

涙を流したり、喧嘩するのも瑛奈となんだ…」




瑛奈は陸斗にもたれ掛かり、幸せそうに海を見つめる中、陸斗は静かに話を始めた。