‐次の日‐
「あっ綾香ちゃんのお母さん!こんにちは☆」
「…こんにちは。」
病院のロビーを通り掛かった陸斗は、綾香の母親の姿に気がつき、声を掛けた。
「…凄い荷物ですね?それ全部持って帰るんですか?」
「…もう必要なくなったので。」
大量の荷物を手にしている事に、陸斗は笑顔で聞くと、綾香の母親は静かに言った。
「…ッえ?…必要なくなったって…」
「…ッ…ッ昨日の朝方に。
…そんな顔しないで下さい。
あの子…ッ本当に最後まで辛い顔はしなかったんです。
…私達、親が逆にもっと強くならないと、と考えさせられる位に。
…ッだから、これからは私達が綾香の分まで笑顔でいなきゃダメなんです。
…ッ瑛奈ちゃんにも貴方にもお礼を私から言わせて下さい。
…本当にありがとうございました。
…ッ綾香はきぃちゃんや貴方とお友達になれたと、本当に嬉しそうでした。」
思わぬ言葉にショックを隠しきれず、陸斗は言葉を詰まらせていた…
綾香の母親は涙を目に溜めながら微笑みそう言うと、お辞儀をしてその場を去っていった。