「…良かった。

…パパ…ママ…

最後にあやのお願い聞いてくれる?」




「…ッうん。…ッ何?」




母親の言葉に、綾香は本当に嬉しそうに微笑むと、口を開いた。






「…あのね…パパにも…ママにも…

いつも笑っていてほしいの。

…悲しいお顔はダメだよ。」




「…ッ…ッうん。」




「…良かった。

…後ね…たっくんには悲しい事は内緒にしてほしいの…」




「…ッ…ッ分かった。」




どんどん意識が消えかかりながらも、一生懸命話す綾香に両親はただ、手を握ってあげる事しか出来なかった。






「…後ね…きぃちゃんにお礼がしたいよ…

…本当のお姉ちゃんみたいだったよ…」




「…ッ…ッうん。」




「…パパ…ママ………とう…」




綾香はゆっくりと息を引き取った。






最後の言葉が上手く言えなかったけど…




きっと“ありがとう”って言いたかったんだと思う…




“私を産んでくれてありがとう”






苦しいはずなのに…




本当に幸せそうに…




綾香はゆっくりと逝ったんだ。