聞いて、父。


あたし、今、すごく幸せなんだ。


結衣、明里、花菜ちん。


腹を割って、本音でぶつかり合える親友が3人も居る。


健吾。


一言一言、嫌味たっぷりでさ、いちいち頭に来る男なんだけど、実はめちゃくちゃいいやつだったりして。


健吾は、なんだかんだ言って、最後にはあたしの味方になってくれる、唯一の男友達なんだ。


そんな健吾にも大事な彼女ができたんだけど、その子がまたいい子なんだよね。


あっこ、っていうんだけど、可愛いんだよね。


ああ、可愛いって言ったら、やっぱりあのふたりが最強。


茜と蒼太。


今日も元気に保育園に行ったんだ。


茜はまた少し髪の毛が伸びて、蒼太は相変わらずのマルコメ頭で、可愛くてたまんないんだよね。


母も、元気だよ。


あたしの主治医なんて、あの気の強さで簡単に言い負かすんだからさ。


かっこいい女だと思わない?


父が母に惚れた気持ち、超分かるかも。


楽しいスクールライフも、もうすぐ終わるよ。


南高に入って良かった。


好きな人ができた矢先、いきなり強敵が現れてかなりまいっちまったけどね。


涼子先輩。


あたしのたったひとりのライバルで、戦友なんだ。


彼女、もうすぐ母になるんだって。


それから、花菜ちんの兄貴の相澤先輩。


彼女の若奈ちゃんと、涼子先輩の旦那さんの本間先輩。


こんな生意気の塊みたいなあたしを全力で助けてくれるような最強の先輩がいるんだ。


それから……あたしの彼氏。


補欠、ね。


『翠』


再び、直接、頭にその声がガーンと響いた。


『その続きは、これからゆっくり聞かせてくれないか』