あたしは、補欠が思っているような、簡単な女じゃない。


また再発してしまうかもしれないし、その度に補欠を不安にさせるんだと思う。


わがまま言って、困らせて、補欠を振り回すようなひどい女なのだ。


「それでも、補欠はいいっての? 平気なの?」


不安で怖くて、語尾が微かに震えた。


「当たり前だろ。今までどれだけ悩まされて来たと思ってんの」


ふう、と溜息まじりに補欠は続けた。


「もう慣れた。てか、もうこの際、何でも来いって感じかなあ」


「何でも?」


あたしは補欠の腕に掴みかかった。


一瞬ギョッとしたけれど、補欠はすぐに笑って頷いた。


「いいよ、何でも」


「じゃあ!」


興奮気味に詰め寄ったあたしを、補欠は一歩も引かずに受け止めてくれた。


「おし。この際だから言ってみな」


「よーし、この際だから言うけど」


「何だ」


「あのさ、補欠」


一生、補欠の隣で、宇宙一のわがまま言ってもいい?


「……一生だぞ、一生。来年とか、十年後とかじゃないよ。一生」


補欠の返事は即答だった。


しかも、あっさりと。


「いいよ。なんだ、そんな事か」


「……へ?」


補欠があまりにも平然と涼しげに答えるものだから、こっちがあっけにとられてしまった。


「口、開いてる。ださっ」


プッ、と補欠が吹き出す。


あたしはハッとして我に返った。