「ねえ、少年。あたしも、同じなんだよね。大好きな兄ちゃんの事、困らせてばっかなんだ」
本当に、大好きなのにさ。
「ふうん。じゃあ、おれと同じ悪い子だね」
「……うん。だよな」
こんなつまらん事に精を出してる場合じゃないよな。
このままでいいわけないよな。
補欠に謝ろう。
そう思って携帯に電源を入れようと握りしめた時、突然、ふわあーっと水槽が明るくなって、
「……あっ……うわあああーっ!」
まあるく声を膨らませた少年が水槽のガラスに飛び付いた。
少年は目を宝石のようにキラキラ輝かせた。
「イルカだー!」
声にならない声を上げてジャンプする少年と、
「……ジーザス」
眠ったままの携帯を握りしめて唖然と立ち尽くすあたしの目の前を、2頭の白イルカがスイーっと通過した。
分厚い巨大ガラスの中をまるで大空を飛び回る鳥のように、2頭の白イルカが交差しながら泳ぐ。
今までどんより暗く沈んでいた海底のような空間が、気づくとスカイブルー色にライトアップされ、明るく輝いていた。
あたしたちの前を通過したイルカが、突然Uターンして戻って来た。
「わっ、戻って来た! すっげえー!」
少年はガラスに吸い込まれてしまいそうなほど接近し、目の前にやって来たイルカに小さな手を伸ばした。
そのイルカはどうも悪戯好きだった。
トントン。
口先で水槽を突いて、ぐるぐる水中を回り始めた。
遊ぼう、こっちにおいでよ、とあたしたちを誘っているようだった。
「なんだ、こいつ! おれたちのこと、おちょくりやがって!」
アハハ、と少年がはしゃぎだす。
本当に、大好きなのにさ。
「ふうん。じゃあ、おれと同じ悪い子だね」
「……うん。だよな」
こんなつまらん事に精を出してる場合じゃないよな。
このままでいいわけないよな。
補欠に謝ろう。
そう思って携帯に電源を入れようと握りしめた時、突然、ふわあーっと水槽が明るくなって、
「……あっ……うわあああーっ!」
まあるく声を膨らませた少年が水槽のガラスに飛び付いた。
少年は目を宝石のようにキラキラ輝かせた。
「イルカだー!」
声にならない声を上げてジャンプする少年と、
「……ジーザス」
眠ったままの携帯を握りしめて唖然と立ち尽くすあたしの目の前を、2頭の白イルカがスイーっと通過した。
分厚い巨大ガラスの中をまるで大空を飛び回る鳥のように、2頭の白イルカが交差しながら泳ぐ。
今までどんより暗く沈んでいた海底のような空間が、気づくとスカイブルー色にライトアップされ、明るく輝いていた。
あたしたちの前を通過したイルカが、突然Uターンして戻って来た。
「わっ、戻って来た! すっげえー!」
少年はガラスに吸い込まれてしまいそうなほど接近し、目の前にやって来たイルカに小さな手を伸ばした。
そのイルカはどうも悪戯好きだった。
トントン。
口先で水槽を突いて、ぐるぐる水中を回り始めた。
遊ぼう、こっちにおいでよ、とあたしたちを誘っているようだった。
「なんだ、こいつ! おれたちのこと、おちょくりやがって!」
アハハ、と少年がはしゃぎだす。