「何それ! 超かっこいいじゃーん!」


首から下げているそれを指さすと、


「……これ……?」


と少年が泣き顔を上げた。


「そうそう、それそれ!」


濁りひとつない澄んで潤んだ瞳がきれいで、少し緊張した。


「ねえねえ、もし嫌じゃなかったらさ。それ、姉ちゃんに見せてくんない?」


「……これ?」


「うん」


少年は腕で目をぐいっと拭いたあと、それを突き出して笑った。


「いいよ。見る?」


ズズ、と鼻をすすりながら、少年はゆっくりと指を開いた。


「スゲーじゃん、これ! 手作りだろ? いいなあー」


小さな手のひらに乗っていたのは、ディープブルー色のフェルト生地に真っ黒なボタンをあしらった、イルカの形をした手作りのペンダントだった。


「だろ!」


急に、少年がぱあっと笑顔になった。


「これ、母ちゃんが作ってくれたんだぜ! 母ちゃん、こういうの得意なんだ! 何でも作れるんだ」


ニッ、と白い歯をこぼれさせながら、少年は小さな声で続けた。


「でも、母ちゃん、去年の夏に死んじゃったんだ」


「え……」


「病気。だから、もういないけど」


「……あ……そか……ごめんな」


あたしが背中を丸めると、少年は小さく微笑んで「ううん」と首を振った。


「別に。しょうがないことだから」


その仕草がやたらと健気に見えて、苦しいほどに切なさが込み上げた。


「おれの母ちゃん、大好きだったんだぜ! イルカ」


「そうなんだ」