手足が麻薬でも打たれたように痺れて、モルモットにされたネズミのように痙攣し出した。


手足が、勝手に動く。


気持ち悪い。


怖い。


誰か……助けて。


それすら、口にできない。


もう、痺れは全身を巡っていた。


何だ、これ。


こんなの嫌だ。


あたしはこれから駅前に行かなきゃならないのに。


補欠と映画を観て、それから……。


「……う」


指先に、携帯電話の端が見えた。


だけど、携帯を掴もうとしても手が言う事を聞いてくれない。


「……ぐ……」


歯を食いしばって手を伸ばそうとした時、誰かがあたしの背中に触れた。


「動くな、動くんじゃねえよ。今、お母さんが来っからなあー」


ひと欠片の雪が頬をかすめた瞬間、唐突に得体の知れない恐怖感が全身を襲った。


あたし、どうなんの?


痛い。


苦しい……助けて、誰か。


次第に痺れが強くなって、手と足の先から硬直していった。


頭から背中にかけて、突き抜けるような痛みが走った。


怖い。


怖くてどうにかなりそうだ。


鼓動の音ですら、頭に響く。


呼吸ですらしんどい。


「いた……ひ……くる……」


苦しい。


強烈な痺れは唇にまで到達し、言葉にならなくなり始めていた。