しかも、なんとも鼻につくような、しゃくにさわるような笑い方をするのだろうか。


ガリ勉のオーラ全開のクラスメイトたちの中で、結衣と明里と同じように、彼は少し飛び抜けているように見えた。


今風の爽やかな外見に整った顔立ちで、さりげなくピアスまでしていた。


「お前、何笑ってんだ」


低い声で威嚇すると、彼は端正な顔立ちをくしゃくしゃにして、ああ、と笑いをこらえた。


「いや、しゃくにさわったなら、謝るよ」


謝るよ、だと?


じゃあ、最初からごめんと言えないのか。


なんだ、この男。


話し方まで鼻につく。


上から目線の人を小馬鹿にしたような仕草に、イラッとした。


フン、と目を反らしたあたしに、彼はこそこそと話し掛けてきた。


「さっき、凄かったね。掲示板のとこで派手にやってたね」


「あん?」


「あれ、彼氏だよね。確か、夏井くん」


あたしはとっさに顔を上げて、反応した。


「知ってんの? 補欠のこと」


「補欠?」


「あ……夏井響也のこと」


「知ってるも何も」


彼はクスクス笑いながら、小さく頷いた。


「ちょっと有名だよ、君たち。ね、吉田翠ちゃん」


まだ自己紹介もしていないのに、あたしの名前をするりと口にした事にびっくりした。


「一年の時から付き合ってるよね。夏井くんと」


「そうだけど……」


あたしは一切何も聞いていないのに、彼は自ら名乗った。


「ああ、おれね、レンていうんだ。蓮の花の、レン」


「あっ……そうかい」


「よろしくね」