同じ人に恋をして、戦った友ってことか?


その証を、あたしにくれるっていうのか?


「ねえ……」


喉の奥がぐっと締め付けられて顔を上げると、もうそこに涼子さんと友人の姿はなかった。


なんて人だ。


なんて素敵女子か。


無意識のうちに、追いかけていた。


「あ、いた!」


下足棚の前でふたりを発見した。


「ちょっと」


涼子さんを呼び止めようとした時、


「あの子、一年でしょ。ちょっと有名じゃん。金髪で入学してきてさ、生意気って。涼子、あの子と仲良かったの?」


その怪訝な声が耳に飛び込んできて、あたしは言葉を飲み込んだ。


たしかに、あたしはちょっとばかし有名だった。


一年生のくせに髪の毛染めて生意気。


赤毛の結衣も、つんと突っぱねた態度の明里も。


3人揃って生意気、で有名だった。


すれ違う時、上級生から文句を言われるのは日常茶飯事で。


「やめときなよ。あんなのと関わってたらろくなことないって。せっかく、大学の推薦決まったのにさ」


涼子さん、進学決まったのか。


「平和に卒業したいじゃん。だからさ」


と友人が言いかけた時、涼子さんがらしくない声を出した。