【1B 激ウマ お好み焼き】


とペンキで手書きされたでっかい看板をふたりで持ち上げて、補欠と健吾が校舎に向かって歩き出した。


「こういう時、運動部の男って損だよな」


と健吾がぶっちょう面をすると、


「まあな」


と補欠は相も変わらず、得意の無表情で。


「おい、あっこ」


余った調味料を整理していたあっこに、あたしはじりじりと詰め寄った。


「どうしたの?」


「めんぼくねえ。しばしの間、これを預かってはくれまいか」


あたしはメニューの看板やチラシが乱暴に詰め込まれたダンボールを、


「たのもう」


とあっこの足元にどっしり置いた。


「え……それはいいけど。これも、教材室行きなんじゃないの?」


「うむ。その通りだ」


腰に手を当てて頷くと、


「私、一緒に運ぼうか?」


クスリと笑ったあっこが、ダンボールをよいしょと抱えて持ち上げる。


「それは非常に助かる」


「じゃ、行こうか」


「いや、だがしかし。このまま待っていて欲しいのだ」


「え……?」


キョトンとしたあっこを残して、あたしは猛ダッシュで駆け出した。