「あー、なんていい天気なんだ。最高の野球日和だぜ」


あたしが言うと、補欠が弾かれたように振り向いた。


「て、今、思ってたべ?」


あたしがニッと笑うと、補欠は小さく笑ってくすぐったそうに頷いた。


「すげえ。大当たり」


やっぱりな。


「だろ。これは愛のテレパシーだな」


そんな能力をあたしは持っていないが、補欠の考えていそうなことくらい予想がつく。


「愛? なに抜けたこと言ってんだよ」


と補欠が笑い飛ばした時、教室ににべちゃんが入ってきた。


「おはよう。えーと、運動部の男子は何人いる?」


そう言って、にべちゃんは教室の中をぐるりと見渡して、


「なんだ、まだ野球部ふたりしか来てないのか」


と少しがっくりしている。


「仕方ないか。じゃあ、夏井と岩渕。悪いが、屋台まで運んで欲しい物がある。来てくれ」


「えーっ」


と面倒くさそうに健吾がだらだらと立ったあと、


「おーす」


と補欠も立ち上がり、ふたりはにべちゃんの方へ向かった。


カタ……。


さりげなく、ごく自然に補欠のあとをついて来たあたしを見て、にべちゃんが首を傾げた。