掴んだブレザーを離したくない。



悠ちゃんといたい…。



「今の、誘われた?」

「えっ!?さそっ!?」

「次、どっか行くか」

「サボって?」

「ん、数学?」

「違うよ…?」

「じゃあバックレよっか」



初めて悠ちゃんとふたりで授業をサボることになった。



ケータイだけをポケットに入れて、向かったのは屋上に続く踊り場。



「さみぃ~…」

「寒いね」

「暖めて?」

「悠ちゃん…好きぃ~…」



壁に寄りかかって座った悠ちゃんの足の間に入った。



ギュッと抱きしめてくれて、昨日とは違う悠ちゃんに胸が痛い。



暖かい、悠ちゃん…。



「昨日ごめん」

「えっ!?」

「ん~、なんつーか…体調悪かったしユナ、なかなか帰ってこねぇしで…イライラしてました…」



あたしが悪いのに…。



悠ちゃんは悪くないのに…。



「ごめんね、悠ちゃん…。逆の立場なら絶対イヤだ…」

「だろ!?だよな~、やっぱり俺は悪くねぇ」

「ごめん…」

「寛大だろ?俺」

「うん…、大好き…」



悠ちゃんを裏切るようなことは絶対したくない。