「じゃあ、仕方ないよね。」


かな子が腕を組む。

「まだ、掴むモノがないと危ないかも知れないからね。」

「医者は大丈夫って言ってただろ。」

「ダメ?」

「…。

ちんたら歩かれたらめんどうだからな。

俺が引っ張る分には便利だからな。

このままで良い。」



とある場所



「なぁ、常盤。」

「何かしら?」

「デート、したいか?」


「…聞き違い?」

「嫌ならべつに良いがな。」

「だって幸大がデートなんて初めてなのよ?」

「本当は前からライカとか叶がつれてけって言うから、

こう言うのもたまにはな。

年功序列でたまたま、常盤が最初になったからな。」


「人に言われて私をデートに誘ってるの?」


「…。

良いから行くぞ。」

常盤の手を引く。

「手を握るなんてね。

しかも幸大から。」


「少し静かにしろ。


お前は黙って俺についてこい。」

「そうね。

永遠に、ね。」



遊園地



「あ。」

二組のカップルが出会う。

「会わないって言ったのに、会っちゃったわね。」

常盤が言う。

「しかも、もうじき帰ろうとしてたから最後の最後でってやつですね。」


かな子も言う。