2人で階段を上がって私の部屋の前に立った時―――私は思い出した。今朝時間が無くて、慌てて家を出たから、パジャマは脱ぎっぱなしだし、結構散らかっているのだ。
「優兄、ちょっと待ってて。絶対開けないでよ」
優兄に念を押して、私は急いで部屋を片付ける。
なんでこんな日に限って汚いのよ。
「優兄、入っていいよ」
「久しぶりだよな。香織の部屋。全然変わってねぇな」
ぐるーっと部屋を見回すと、優兄は窓から外を見ている。
「こうして見ると俺たちの部屋って近いよな」
「そうだね。話が出来るもんね」
それからしばらく優兄とたわいもない話をしていると
「ご飯出来たわよ~」
というお母さんの声が聞こえてきた。