「いい加減にしてくれや」



もう、忘れさせてよ。



1年も前のことやん。



引っ越したし、関西から離れたやん。



忘れろや、全部。




姿も、髪型も、背格好も、体格も、顔も、何もかも。




あたしの頭から、離れろや。




「ほんま…頼むで」




唇をキュッと噛み締め、サンドイッチの袋を開けた。




心地よい風が長い髪を靡(なび)かせ、心を軽くした。