ギリギリで校門をくぐると、昇降口にまで人が溢れていた。

『は?…んだこの人ごみ…。ウゼェ』
「おはよ、朔鵺!」
『あ?あぁ、はよ、水羽』
    スズカゼ ミナハ
この子は涼風 水羽。
私の正体を唯一知ってる親友。

『なぁ、水羽。この人ごみはなんだ?』
「え、朔鵺知らないの!?今日転入生が来るんだよ!」
『ふぅん、転入生ねぇ……ん?転入生、…転入……あ!!』
「なに、知り合い?」
『水羽、その人の苗字は?』
「何だっけ…えと…あ、鬼頭。鬼頭だよ!」

あ~来ました。柊侍くんだねこれは。

『…水羽』

新しい名札を見せつける。

「ん?鬼頭?あれ、藤堂じゃないの?」
『再婚した』
「ふぅん……ぅえぇぇぇ!!!?」

水羽は名札を指差しながら言う。

「まさか…鬼頭 柊侍って…」
『そ。家族』

二人で騒いでたら柊侍は私に気付いたみたいで。

「朔鵺」
『はい?』

敬語に戻して優等生朔鵺ちゃんを演じる。
柊侍は一瞬驚いた表情だったけど、すぐに元の表情に戻って、

「職員室どこ?」

って訊いてきた。

『職員室ですね。ご案内します。こちらです』

微笑んで案内する。
野次馬共が道を開けてくれた。
つか邪魔だよテメェらさっさと教室に入ってSTやれよ先生達も何してんの?