「紫輝くんだが…今、高校三年生で普通の公立高校に通っているらしい。和泉家も継がない、と言って家出中だと…だから今回の婚約は……」
なし………
「お父様、私は紫輝さんと結婚したいです。」
「千鶴?」
「阿木家にはお兄様がいます。今はアメリカにいますが、大学を卒業したら帰国し阿木家を継ぐ…ですよね?」
「あぁ。」
「なら、私は…嫁ぎに出ます。その先は和泉家以外嫌です。」
「千鶴さん?」
お母様も驚いてる。
だけど決めたの…自分の力で掴むの…幸せを。
「お父様、お母様。千鶴はずっと、お父様とお母様の言う通りにしていれば幸せになれると信じていました。」
「…………」
「だから、今回の婚約も幸せだと信じていました。だけど、違いましたわ。」
「だったら婚約破棄でいいだろう。」
「いえ、違います。婚約破棄はしません…今回の婚約…紫輝さんは嫌だそうですが私は嬉しいです。」
「………」
「紫輝さんと結婚したいです。だから我が儘を聞いて下さい。」
「我が儘?」