うさぎさんは、寂しいと死んじゃいます。



だからね、はやく来ないとうさぎさんが世界を巻き込んで死んじゃいます。
期限は1年だけ。
うさぎさんを助けてあげてください。

あなたに拒否権はありません。

拒否した場合は、大切な人を殺します。悪しからず。

_世界とうさぎさんを救おうの会_


◇◆◇

はっ?と、俺は固まった。

「世界とうさぎさんを……、救おうの、会?」

唖然として、再度、目で手紙を読み返す。
世界を巻き込んで死んじゃいます?
うさぎさんを助けください?
期限は一年?
大切な人を殺す、って。


「……ばっっっかじゃねえの?」


はっ、と鼻で笑った。
でも、実をいうと、こういう脅迫文のようなものは苦手で、少し声が震える。
捨てようと思ったが、あたりにごみ箱はない。まさか、ポイ捨てなど出来なかった。

少し考えてから、手紙を握り潰すとポケットに突っ込んだ。
学校に行ったら、破いて捨てよう、と頷いて、驚きのあまりに立ち止まった俺は、また歩き出す。


『拒否した場合は、大切な人を殺します。悪しからず』


その言葉が蘇ったが、頭から出すように頭を振った。
嫌な嫌がらせだ。
きっと、妹の祁劫(ききょう)が昨日シュークリームをとった恨みで入れたのだろう。
だが、それでも度合いというものがある。後で叱ろう。全く。


ああ、なんか朝から嫌な予感がする。
手紙のせいかもしれないが、――胸騒ぎがした。