父親が亡くなって、母子家庭になった。小学生6年生の時だった。

帰ってきて誰もいない。ただいま、といっても誰も反応しない。明かりのついていない暗く冷たい部屋。
それが、どうしても悲しくて仕方なくて。
独りぼっちだと実感するのが嫌で。
誰かとつながりたくて、縋るように、自分の部屋のパソコンをやりはじめた。


まずやったのは掲示板。
だけど、返事が蹴られたり、はやく返信を打たなければいけないから止めた。

次はチャット。
更にはやく打たなきゃいけないから、すぐに止めた。

次はブログ。
機能はよく分からなかったけど、はやく打つ必要性がなかったから、それにはまった。誰かとつながれるわけではなかったけれど、友達にはいえないありのままの言葉をさらけ出せる場所があるのは心地よかったのだ。


そこで、たまたま仲良くなったのは"白露"というHNの病弱な少女だった。


少女と私はブログ上の友達。俗に言う〔ネット友達]で、度々お互いのブログにコメントをしあっていた。

そして、何回もやりとりしたあとにダイレクトメールだとかでメアドを交換しあった。

それからは、もう現実の友達に劣らずの仲。

不思議な話だとは思う。顔も名前も家も知らない。そんな人と此処まで仲良くなれるものかと驚いた。
だけど、ネット友達だから言えることもあって、相手の顔が見えないからこそ臆せずに言えることはもたくさんあったのだ。


そこまでくると、会ってみたいなぁという気持ちは膨らむ。だから、そう。


白露が私の住んでいる横浜に引っ越してくると聞いた時は、胸が弾んだ。

現実の名前も、住所も、どんな友達がいるのだとか、今までの情報が本当だとか全然知らないのに嬉しかった。

ましてや、どの学校に来るのかも知らなかったのに。

勝手に期待していたのだ。


ああ、本当に。
勝手に期待していた過去の私を、ぶん殴りにいきたい。


多分、全ての原因は、この白露という少女の出会いにあったんだ。