昇降口のところで、靴に履き替えてすぐ、地に膝をつけた。
「……はぁっ、……はっ…ぁっ、……っ」
呼吸が苦しい。
息がコントロールできない。
バックに入っている袋を手探りで探そうとするが、うまく出来ない。
誰かーー…。
「おま……っ、大丈夫か!?」
目の前に現れたのは、すっかり忘れていた月宮だった。
まさか、待ってくれていたなんて。
「……ふ、く……っろ…」
でも、この際誰でも良い。
「過呼吸か?分かったっ」
焦りながら、月宮は、私が出そうとしていた袋をとりだし、口に当ててくれた。
深呼吸のようなものを繰り返し、そしてやっと、安定した呼吸が出来るようになった、が。
「遠桜……さ、ん?」
「きゅーきゅしゃは……、駄……、目…」
ばれちゃう。
私の為に働くお母さんに。
だからーー…、私はそのまま意識を手放した。
あまりに、死なないことが嬉しくて。