「じゃあ今から添い寝してあげ」
「結構です!!」


 さっきとは違う意味で、ニャンコ先輩がまた口を尖らせる。……ディスターの中で、ここまで自由な人間は、ニャンコ先輩以外いない。と、俺は思う。


 ニャンコ先輩の本名は「ギア・ギコール」。通称は「ブラッディー・キャット」。もしくは「ギギ」。
でも俺は、初めて出会った時から、ニャンコ先輩が顔に猫のお面をつけていたことから、「ニャンコ先輩」と呼んでいる。背も160ないし、童顔だから、見た目は俺とタメくらいだけど、実は23歳。性格は…………変人。いや、変態。…だと思う。


「悪いですけど、着替えるので出てってください。」

俺は、ベッドの横にある椅子で360度クルクル回って遊ぶニャンコ先輩の横を通り、壁にかけておいたTHISTARの制服に手を伸ばした。

「着替えるのザー君?なら手伝」
「結構です!!!」

「しょ~がないなあ~♪♪じゃあ~そんな照れ屋なザー君に私からのプ・レ・ゼ・ン・ト♪」

「……何ですか?これ。」


ニャンコ先輩の手から差し出された“プレゼント”は、薄っぺらい紙切れ1枚。よく見ると、2~3行の字で何か書いてある。
「…人は何故生まれてきて、何故死んでいくと思いますか?」

俺はその文章を声に出して読み上げた。

「レイがザー君に渡すように、私に昨日、預けてきたんだ♪ただのアンケートペーパーだけど、今日の夜11時までに、レイに提出ね~。」

「これ、ニャンコ先輩も貰った?」

「もちろん♪全員もらって、もう出してないのザー君だけだよ~。」


めんどくせぇー……。何で急にアンケートなんかやりだしたんだよ、レイ。

「ちなみに、ニャンコ先輩は何てこれ書い……………て、いねえし!」


参考になるかどうかは別として、先輩の考えを聞こうとしたけど、アンケートペーパーから目を離した時には、もう既に、ニャンコ先輩の姿はなかった。