――なんとかトイレまで
たどり着いた。
私たちが座っている所から
トイレなんて
目と鼻のさきなのに
とても遠く感じてしまう。
私は先にトイレをすませ
トイレの入り口の所で
桜を待っていた。
「桜ー、あたし出て
待ってるからね~」
「は~い!」
――すると、
あの彼が近づいてきた!
ひゃーーー。
私こういう時って
どんな顔すればいいのか
分からないんだけど!
え…まず声って
かけるべきなの?
ニコって笑いかけるの?
一人で
パニクってると先輩が
「何、お前?
百面相のつもりかよ?」
と言って私を見るなり
クククッ…と腹を抱えて
笑ってくる。
ちょっと恥ずかしくなって
顔を赤らめながら
「なっ…そんな事
してませんよ!」
また先輩は
意地悪な顔をしながら
「いや、してたぞ」
私は更にムキになって
「してません!」
こういうやり取りを
続けていると、
桜がトイレから出てきた。
「お待たせっ♪」
何も知らない桜は
のん気に出てくる。
「あっ、桜!」
「ねえ、優奈!」
目を輝かせて
桜は迫ってくる。
「な…何よ?」
ちょっと引いてしまう私…
「この人彼氏?」
目…目が輝いてるよ…
…じゃなくてっ!
「ち…ちちちち違うよ!」
私は全力で否定した。
「赤くなるとこが怪しい~!」
ニヤニヤする桜。
チラッと先輩を見ると
また腹を抱えて笑ってる。
「ちょっと先輩も
否定して下さいよ!」
私は先輩にふった。