さっさと帰ろう
やっと教室に着いて
鞄をこっそり取り帰ろうとすると
「お、橋本。何処行く気だ?」
やばい
面倒くさいのが来た!
ここは無視だな
無視して帰ろうとすると
腕を掴まれた
いつのまに。
「待てよ。どっか行くのか?」
「家に帰る。」
睨みながら不機嫌そうに
言うとたじろぐ河井(かわい)
河井は体育の先生で
簡単に言うと、熱血バカ
がたいがデカい割に怖がりで
黒髪ツンツン、ひげをちょびちょび生やしてる人
「まだ、帰る時間じゃないよな。」
少し河井の声が震えていた
さっきから少しずつ後ろに下がってるし
「先生、そろそろ離して。」
苛々してきた
だけど先生に対して強く言うのはやばいし
なるべく言葉を選ぶ
それでも離してはくれない
ヤバい
あと少しでキレそう
殴りたい!
「どうしたら、
納得するんですか?」
「え?あぁ、
じゃあ俺を一歩でも
動かしたらいいぞ!
手段はなんでも構わん。」
河井はがははっと笑い
私の前に立った
余程自信があるのか
さっきの怯え様が嘘のよう
「そうですか。」
私は河井の悔しがる姿を想像して
思わずにやける
手加減なんてしないんだから
私は足で思いっきり河井の腹を蹴った
ぐぉっ
そんな声が前から聞こえる
河井は見事に廊下に吹っ飛んでいた
「茜!」
凛と渓の声
ふと後ろを見ると
顔を真っ青にした人達
あぁ、やり過ぎたか
凛が私に怒っているようだけど
今は全然怖くない
むしろその態度が目障りと感じる
今日の私は何処かねじが外れていた
「じゃあな、センセイ。」
私は唖然としているクラスメートと
凛、渓
そして、廊下にぐったりしている
河井をおいて
学校を後にした