「ごめんね。」

「茜のせいじゃないよ。
きっと。」


声が聞こえて目をうっすら開けると


海が私の頭を撫でてた


優しい顔をして


「なんで此処にいるの?」

「謝らなくちゃいけない事があったから。」


はい?


何を?

もう五年前の事は謝ってもらったのに


「あのな、この学校で初めて会った時

俺は茜を泣かせた。

しかも茜のお父さんを連想させる行為をした。

許されない事をした。

だけど、あれには事情が」

「分かった。全部分かったよ。

確かに海は私にアイツと同じことをした

だけどそれは海の意思じゃない。

そうでしょ?」


海は少し視線を逸らした

申し訳なさそうに


そっか良かった

海のお陰で少し見えてきた


ほっとして息吐く

ゆっくり体を起こして
少し無理やり

気付かれない程度に
笑ってみた