「だからわたしと」
「ごめん無理」

女の子の言葉を羽夢はさえぎった。

「俺、好きな人いるから」

無表情で羽夢は告げた。

すると女の子は目に涙を浮かべながら、

「そ……そうだよね……ありがと、聞いてくれて」

といって羽夢に背を向けて走った。

わたしの横を通過していく女の子をわたしは黙って見ていた。

「おい、覗き野郎」

ふいに声をかけられた。

「うおわッ! 羽夢!」
「人の告白覗きだなんて趣味わりーな」
「や、これはちがくて……」
「何が違うんだ?」
「それは……ってゆーか、気づいてたの!?」
「バレバレ」

羽夢はため息をつく。