「光弘はあの時の『朋香』からのクリスマスプレゼント、結局何だったか分かっていないんでしょ?」


「あ、あぁ、そういえばそうだったな…。
俺は、今、瑠璃子が首にかけてるムーンストーンの指輪をあげたんだけど…」


「何で私が持っているか、今まで1度も聞いてきた事なかったわよね…」


光弘は頷いた。



瑠璃子が奪うはずはない。

とすると、”朋香”…

いや、『雫』が自ら放棄したとしか考えられない。


早く一緒になりたくて送った指輪を拒否されたなんて事実を受け止めきれないから、今まで触れずにきたのだ。


「『雫』…
いや、”朋香”からの光弘へのクリスマスプレゼントは…
この指輪を持った”私”だったの。」


「え…?」



光弘はよく意味が分からなかった。



「このムーンストーンね…
月の光にかざすと瑠璃色に見えるねって”彼女”が笑って言ったの。
そしたら、それを私の首にぶら下げて。
”私”が光弘への最期のプレゼントだって。
”幸せにしてあげてね”って言ったの。」